映画『聲の形』贖罪と赦しと自己肯定 - ネタバレと感想

f:id:yasukkokoko:20161014113719p:plain

©大今良時講談社/映画聲の形製作委員会

 

 劇場アニメ「聲の形」を観にいってきました。「君の名は」の大ヒットに隠れがちですが、大いに人気を博しているこの作品。非常に素晴らしい映像作品に仕上がっております。以下に劇場版作品の要約、感想や原作との相違点などについて述べたいと思います。

 

要約

 主人公の石田将也は、小学生時代に転校してきた聴覚障害をもつ少女・西宮硝子をいじめてしまう。当初は悪ガキグループのリーダーであった石田だったが、エスカレートしたいじめ行為が校内で問題となったことをきっかけに、逆に他の生徒からいじめをうけるようになる。

 いらだちの中で、いじめられても笑うばかりで自分の気持ちを伝えようとしない西宮に怒りを覚え、石田は西宮と取っ組み合いの喧嘩をし、西宮は他の学校へ転校していく。西宮が転校していった後、石田は彼女がいじめによって落書きだらけになっていた自分の机を毎日綺麗にしてくれていたことを知り、自分を恥じる。

 中学校進学以降も周囲の人間と距離を置き、孤立した学校生活を送る石田だったが、高校3年のあるとき自分の人生に見切りをつけ、かつて傷つけた西宮に謝罪した後に自殺することを決意する。石田の突然の訪問に驚く西宮であったが、彼を受け入れ、妹の西宮結絃とともに交流を深めていく。

 西宮と再会したことをきっかけに、石田は小学校時代の同級生たちとも新たに関係を再開する。高校内でも友人ができ、充実感のある生活を送る石田だったが、小学生時代のいじめ行為を高校の同級生に暴露されたことをきっかけに、友人たちとの関係も険悪なものになってしまう。

 石田と友人たちとの関係が悪化したのは自分の責任であると思いこみ、西宮は自宅マンションから投身自殺をはかる。すんでのところで石田に救出されるものの、救出の際に石田が転落してしまい、意識不明の重体におちいる。石田の事故の件に責任を感じる西宮だったが、石田と友人たちとの絆を取り戻したいと考え、積極的に行動を起こす。

 西宮の尽力もあり、意識回復後に石田は友人たちとの関係を修復し、高校へと復帰する。西宮との再会後もどこか周囲の人間たちに壁を作りがちな石田だったが、ついに心を開き、周囲に対して貼り付けていたレッテルを取り払う。開かれた石田の視界には、澄み渡る景色が広がっていた。

 

感想と原作との相違点

 音響から声優さんの演技まで含めて、非常に丁寧に作りこまれた作品であると感じました。特にクライマックス付近のカタルシスは、映像作品でなければ得られないものがあるように思います。

 ラストシーンが周囲の人間に張り付けていた×印が剝がれてゆく光景であることからもわかるように、基本的に主人公の周囲に対するとらえ方の変化に焦点を当てた構成になっているように思います。原作ではもう少し群像劇に近い作品である印象を受けましたが、これはこれで優れた構成であると思います。

 また、尺の都合上いくつかのエピソードが削られたり改変されたりしています。いくつか挙げると、

・文化祭がラストシーンとなっているため、それ以降の出来事については鑑賞者の創造にまかされている。個人的に好きなキャラクターだったので残念。

・映画を撮影するという話が無くなっている。

・真柴の内面に関わるエピソードがごっそり削られていて、取り立てて特徴のないキャラクターになっている。

・川井が同級生から偽善者扱いをされているような描写が少なくなっており、川井に対する評価が鑑賞者に委ねられている。原作ではもう少し誘導されている印象。

・植野との再会シーンにおいて、尻尾と猫耳が最初から装備された状態になっている。ある意味衝撃的なシーンだったので、残念に思われる方も多いかと。

 

 原作未読の方も既読のファンの方も大いに楽しめるようになっていますので、まだ観ていない方も(既に観た方ももう一度)ぜひ映画館へ足を運んでいただければと思います。

 上映劇場情報は以下のリンクに。

koenokatachi-movie.com