映画『ザ・ロード』荒廃した世界を生きる親子の絆 - ネタバレと感想

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    生物が死に絶え、荒廃した世界で強く生きる親子を描いた作品。ネタバレありの要約と感想になります。

 

要約 

    荒廃した世界を息子と父親の二人はひたすら南へ歩き続ける。他の生物や植物はほとんど死滅してしまった世界で、わずかに残った食料をめぐって人々は争い、略奪や人食いが横行していた。妻は二人を残し自ら命を絶ってしまったため、親子にとってお互いだけが頼りであり、心の支えであった。

    南へと向かう道中、二人は何度となく他者からの襲撃を受ける。父は息子を守るため、ときには人を殺め傷つける。その度息子は父に対し、自分たちはまだ「善き者」であるか問う。

    あるとき食料を求めて一軒の住宅を探るが、その地下には食用の奴隷として監禁されている人々がいた。助けを求められるも、自分達の身が危険にさらされるため応じることができない父親。またあるときには、食料や靴を男に奪われてしまう。盗人を追いかけ食料を取り戻すも、報復として彼が着ていた服まで奪ってしまう父に対し、息子は反感を持つ。善良さを失いかけている父を諌める息子に、父はハッとさせられる。

    苦難の果てに海岸に辿り着くも、美しさとはかけ離れた光景があるのみ。それでも親子は南へと進む。しかし、父親の体調は少しずつ悪化していき、動けなくなるほどに衰弱してしまう。父は息子に、自分を置いて南へ向かうよう告げる。そして、善良な仲間を見つけ、強く生きるように言い遺す。とうとう父は息絶え、息子はひとり生きてゆかざるを得なくなった。

    ひとり海を見つめる息子に、ある男が近づいてくる。彼は息子に対し、自分とともに来るよう話す。彼は妻と二人の子供、犬を連れており、親子の後をずっと追いかけてきたという。息子は彼らと共に行くことを決心し、父の亡骸に別れを告げる。

 

 

感想

    とても静かで美しい映画でした。息子を守るために強く冷徹であろうとする父に対し、一貫して人間としての慈愛や尊厳を保とうとする息子。絶望的で生きる意味など見いだせそうにない世界で、それでも生きてゆくふたり。

    父は息子に言って聞かせる。「悪い夢を見る間は、まだ闘う気力があり生きている証拠だ。いい夢を見始めたらそれは危ない事だ。」昔の幸せな頃の夢ばかりみる自分に対する戒めのようなものなのでしょう。生まれたときから厳しい環境に置かれていたからでしょうか、残酷な世界でも理性を失わない息子の強さには感服します。

    南へ向かうという曖昧な目標は、何の意味もない幻想でしかありません。南に行けばかつてのような世界が存在するわけではありませんし、どこまで行っても救いはないでしょう。しかし、そのようなものでも絶望の中で生きていくためには必要なものであり、その過程で親子が強く生き抜き、人間としての善良さを守り抜いたことが最後の救いに繋がったのだと思います。   

 

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