『ブラック・ミラー』シーズン3第2話「拡張現実ゲーム」バーチャルへ没入することの恐怖 - ネタバレと感想

 SFオムニバスドラマ『ブラック・ミラー』シーズン3の第2話「拡張現実ゲーム」のあらすじと感想になります。今回はリアルなVRゲームがもたらす恐怖がテーマとなっています。ネタバレありですので、これからご覧になる方はご注意ください。

あらすじ

 母親との関係に悩み、自分探しに世界中を旅して回っていたクーパー。ロンドンに滞在中、ゲーム記者であるソーニャという女性と仲良くなる。彼女に家族関係を相談するうち、旅行を終え、ぎくしゃくしていた母ときちんと話し合おうと決断する。アメリカへ帰国する航空券を購入しようとするが、カードを不正利用されていたことが発覚。残高不足のために航空券の購入ができない事態におちいる。そこでソーニャの紹介のもと、帰国費用を稼ぐために大手ゲーム開発会社の新作ゲームのテストプレイヤーに応募する。

 そのゲームは拡張現実システムを利用したもので、プレイヤーの過去の記憶を学習することにより、バーチャルリアリティーよりもさらに現実に近い体験が可能だという。テストプレイ用の部屋に案内され、ヘッドマウント機器を装着されるクーパー。

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頭に装着した端末により本人の脳内データを学習し、プレイヤーに最適な映像を作り出す仕組み。

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プレイヤー本人にのみ観ることのできるキャラクターの映像。

『ブラック・ミラー』シーズン3第2話「拡張現実ゲーム」より

    一通りデモをプレイした後、この技術を利用したホラーゲームのテストプレイヤーに選ばれたクーパーは、古風な洋館で一人で過ごすよう指示される。

 当初は気楽に構えていたクーパーであったが、苦手とするクモや学生時代のいじめっ子が視界に現れるようになり、徐々に動揺し始める。リモートアシスタントの女性と会話をすることで気を紛らわすものの、通信機器の不調によりその会話も途切れてしまう。

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クーパーの恐怖感が作り出した不気味な巨大クモ。

『ブラック・ミラー』シーズン3第2話「拡張現実ゲーム」より

 一人不安に苛まれていたところ、突如ソーニャが洋館を訪ねてくる。彼女はこのゲームが非常に危険なものであることを知り、クーパーを心配して急遽訪ねてきたという。彼女の姿も拡張現実が作り出したものだと疑うクーパーだが、実際に触れることができたことから、彼女を現実のものとして認識する。

    会話相手となる人間が現れ、再び余裕を取り戻すクーパーだったが、失言からソーニャとの口論に発展し、彼女に刃物で刺されてしまう。刺された痛みにのたうち回るクーパーだったが、ソーニャは突如視界から消え去り、このリアルな痛みすらも仮想現実であったことが判明する。

 現実とゲームの区別がつかなくなることに恐怖を覚えたクーパーは、アシスタントの女性にゲームをやめたいと懇願する。しかし、もはや幻覚はかなり広範囲にまでわたっており、アシスタントの発言すら彼がゲーム内で体験する幻覚に差し替えられてしまっていた。幻想のアシスタントに家族との不和を指摘され発狂して叫び出すクーパー。

 ゲームが作り出した幻想に苦しめられる彼であったが、彼がゲーム内で体験していたものは、現実の時間では約1秒ほどの出来事でしかなかった。彼の叫びを聞いて、アシスタントはプレイ続行を困難と判断。ゲームは中断される。

    ゲームから開放され、安堵するクーパー。大きな苦痛を味わったものの、無事に会社から報酬を受け取り帰国する。ところが、母親が待つ自宅に帰るも、母は自分を認識することができない。またも発狂するクーパーであったが、それすらもゲームが作り出した映像であった。クーパーは「ゲーム内の幻覚から覚め、帰宅する」という幻覚を見ていたのだった。

 実際には洋館に連れていかれたのすらゲーム内の体験であり、現実でクーパーが経験した出来事は、最初のテストプレイ用の部屋の中で0.1秒未満の間ゲームをプレイしていたということだけであった。彼は一瞬の間に大きな精神的ショックを受け、発狂してしまったのであった。ゲームの不調により脳に深刻なダメージを負ったクーパー。

 

感想

    どこまでが現実で、どこからが幻想なのか分からなくなる恐怖を味わわせてくれる作品でした。映画『インセプション』でも夢と現実の区別がつかなくなるといったようなテーマを扱っていましたが、幻覚を見ている人間が現実と幻覚を区別する手段が確立されていないという点で、本作のほうがより恐ろしいかもしれません。

    一旦「現実のような幻覚」を味わってしまうと、現実に対する執着が弱まってしまいそうな感じはします。最近は3DモデルやVR技術がどんどん進歩してきていますが、将来的に没入感がさらに高く装着感の無い機器が開発されるようになれば、本作が示すような懸念も現実味を帯びてくるのかもしれません。

 

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