テクノロジーがもたらす負の側面 - ドラマ『ブラック・ミラー』が描くもの

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『ブラック・ミラー』3-2「拡張現実ゲーム」より

テクノロジーと社会の軋轢を描く

    人工知能、VR、脳の機能拡張など、かつては空想でしかなかったテクノロジーが徐々に現実のものへと近づいてきている昨今、これらに対する社会の関心は非常に大きなものとなっています。これらの技術は人類の生活を豊かにするというプラスの側面を持つ一方、バーチャルへの過度な依存や雇用の消失など、人々の意識にぼんやりとした不安を産み出しているのも事実です。

    そのようなテクノロジーの過渡期を生きる我々にとって、SF作品の中の空想でしかなかった近未来が実際に訪れたとき、人々が何を考えどのように行動するのかという予測を前もって行っておくことは、社会の変化を捉え、現実の課題と向き合う上で大いに役立つものと思われます。

    ドラマ『ブラック・ミラー』はこのように、未来に対して期待と不安が入り混じった感情を抱いている全ての方へと向けられた作品です。現代の生活に近い設定で、しかし特定の技術が少しだけ進化した世界で、どのようなことが問題となるのかをリアリティある表現と絶妙な皮肉で浮き彫りにしています。

     一話完結の作品となっているので、各回の導入部分を観て興味を持ったエピソードをつまみ食いしていくのもよいかと思います。回によってはSF要素が少なく、今まさに社会問題となっている事柄を描写したものも存在します。その中には我々の身の回りで現実に起きている現象に近いものも存在し、思わずハッとさせられることも多いかと思われます。

    大作SF作品の複雑な設定には興味がわかないという方にも、現代社会が抱えている様々な問題を映す鏡としてこの作品を楽しんでいただけるのではないかと思います。

各回のテーマと感想

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2-1「ずっと側にいて」- クローンの取り扱いと社会的地位

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3-4「サン・ジュニペロ」- バーチャルでの永遠の命

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