『LA LA LAND』ラ・ラ・ランド、ラストシーンの解釈 - 作品の感想

ラストの空想はどちらのものだったか

ミアとセブが再会を果たすシーンでは、バンドの演奏を背景に、二人の『あり得たかもしれない』幸せが描かれます。ミアもセブもお互いの夢を実現したわけであり、現在の生活は非常に充実したものであるといえるかもしれません。しかし、二人が寄り添いながら夢を追うという未来もあったのではないかという考えが二人の脳裏によぎるわけです。

二人の幸せな生活がスクリーンに映し出され、それを二人で眺めているというシーンは二人が共にこのような空想を抱いているということをはっきり示しています。これがどちらか片方の空想であるならば、わざわざこのようなメタ的表現をせずともよいわけで、そこを敢えて二人が自分たちの妄想を客観的に見ている構図を用いたということは、両者が共に、二人が一緒にいられた未来を夢に抱いていたことを表現する意図があったと思われます。

そしてその後、セブが運転する車で共にバーへ向かうというこれまた空想のシーンが描かれます。この渋滞を避けてバーへ向かうという光景は本来ミアしか知り得ないものであるため、このシーンはミア一人の空想であることが伺えます。

最後にミア一人の空想シーンを持ってきたということは、お互いに対し、ミアの方がより強い想いを持っていることを示しているのではないかと想像してしまいます。

 

 

二人はお互いのことをどう捉えていたか

ミアは女優としての成功を収めており、セブが暮らす街にもミアの出演する作品の広告が貼られているため、ミアがどのような生活を送っているかをセブはおぼろげながら知っていたと思われます。彼女の女優としての成功はセブの望みでもあり、そのために彼はミアとの別れを受け入れました。

客席の中にミアを見つけた瞬間は驚きを隠せない様子でしたが、感慨に耽りながらも美しいピアノの演奏を奏でます。

おそらくセブのなかでは彼女と過ごした日々は思い出となっていたのであり、店の名前に彼女の提案である「セブズ」を採用したのも、自分の店を持つという夢を諦めかけていた彼に発破をかけてくれたミアへの感謝の表れではないでしょうか 

一方のミアですが、たまたま入った店がセブの経営するジャズバーであることに強く動揺しているシーンが描かれます。彼女がセブとの別れを消化しきっており、二人で過ごした日々を過去の美しい思い出として捉えているならば、このような反応にはならなかったのではないかと思われます。

ミアにとってセブは女優としての成功を後押ししてくれた大切な人であり、彼も同様に自分の夢を実現してくれていることを願うのが自然です。そうであるならば、セブの店だと認識した場合の反応は、驚きの次に喜びが来るはずではないかと思います。

 

ラストシーンの解釈

一曲目の演奏が終わると同時に足早に店を去ろうとしたミアですが、店を出る直前に足を止めセブの方を振り返ります。二人は目を合わせ、互いの成功を称えるような笑みを見せます。

このシーンは二人が過去の思い出を精算し、未来を生きてゆく決心をしたことの現れではないかと思います。不意に顔を合わせ、演奏が終わるまでの間はお互いに対しまだ複雑な感情を抱いていた二人でしたが、最後には本当の意味で別れを受け入れ、お互いのおかげで今の自分がある、二人が歩んだ道が誤りでなかったと確信できたからこそあのような素敵な表情を見せることができたのではないかと思います。