『T2 トレイン・スポッティング』郷愁と青春の終わり − 作品の感想

 前作で仲間を騙し、大金を手に町を出たマークですが、どうにも新しい生活に張り合いを見いだせていない様子。結婚相手を見つけ、まともな職に就けている時点で、町に残された仲間たちとは雲泥の差がありますが、それでも尚、頭の中身は昔とさほど変わっていない様子。かつての親友とともに新たな悪事を企むレントンボーイですが、過去の確執は友人間に疑心暗鬼を生み出します。

 一方、自分を裏切ったマークを恨みながらも恨みきれないシックボーイは、口では復讐してやると叫びながらも、過去の退廃的ながらも輝いていた生活が忘れられない模様。何も積み重ねないまま40代になってしまった彼らは、現状の生活を肯定することができません。ここにきてマークが帰ってきたという事実は、過去の思い出に浸り、現実逃避するにはもってこいの出来事だったと言えるでしょう。

 昔のノリで騒ぎ立てる彼らでしたが、そこにベグビーという存在が容赦のない現実を叩きつけます。彼だけはマークに対する強い恨みを保ち続けており、彼の過去の裏切りを精算しようと目論みます。今や脱獄囚となってしまったベグビーには、もはや未来などありません。残された仕事は過去に対する決着をつけることのみです。

 自分を騙したマークと、マークを裁こうとしないシックボーイ、マークに情けをかけられたスパッド。ベグビーは自分だけが蚊帳の外に置かれているような心持ちだったかもしれません。三人を殺害しようとしますが、あと一歩の所で返り討ちにあい、再び刑務所へと送り返されます。

 危機的状況を乗り越え、三人の間にはなにかを達成したような雰囲気が漂います。しかし、実のところ彼らの生活は全く好転していません。昔のレコードに合わせて踊ってみても、失われた20年という時間だけがエンドロール後も重くのしかかってくることでしょう。