漫画『鬱ごはん』こんなに悲しいグルメ漫画があるだろうか - 感想

 『バーナード嬢曰く。』の施川ユウキによる作品。就職浪人生である根暗ぼっち系主人公の鬱々とした日々を、すごく不味そうな食事と共に描くグルメ漫画(?)。作者の実体験に基づく、ある意味リアリティに溢れた何の歓びもない日々の食事を描くことにより、過剰なまでの食事描写を用いる昨今のグルメ漫画界に一石を投じている。

 第一巻冒頭の0話で描かれる食事は、「ポケットに入っていた焼肉屋でもらったガム」。

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『鬱ごはん』一巻第0話「ナイト・ホークス」より

 

いかがだろうか。非常に虚しさの漂う光景である。そもそもグルメ漫画の冒頭でなぜガムをチョイスしたのだろうか。

 

 作品開始時には22歳であった主人公も、いつの間にか一巻途中の時点で26歳になっている。ネガティブなユーモアとともに軽く語られる主人公の生活だが、相当にやばい。フリーターとして生活しながら、何らキャリアを築くことなく歳を重ねていく彼。世間の時の流れをガン無視し、ただその場に留まり続けるその姿は、自分を飾り立てることに躍起になるSNS全盛時代において、鈍い輝きを放っている。

 作中にたびたび挿入される小心者にはあるあるなエピソードも、彼の悲しげな日々を彩るスパイスである。

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『鬱ごはん』一巻第11話「パスタ」より